書籍紹介 医者が患者をだますとき

著者紹介 
ロバート・メンデルソン(Robert S. Mendelsohn,M.D)
1926年にイリノイ州シカゴで生まれ、51年にシカゴ大学医学部で医学博士の学位を取得。
その後、イリノイ大学医学部准教授(専門は小児科、予防医学、地域保健学)、ヘッドスタート計画(米国政府教育事業)医療部会会長、全米保険連盟会長、イリノイ州医師免許委員会委員長、マイケルリース病院院長などの要職に就き、医学と医学教育に多大な貢献をしたとして数々の栄えある賞を受賞。
また、ラ・レーチェ・リーグ(国際母乳連盟)の医学顧問を務めて国民の栄養意識を高めたとして、全米栄養食品協会からレーチェル・カーソン記念賞を授与される。さらに全米のテレビとラジオに500回以上出演するなど啓蒙活動にも尽力し、「民衆のための医師」として大勢の人から敬愛されたが、残念ながら、すでに故人となっている。


告白
 私は現代医学を信じない。いうなれば医学界の異端者だ。本書の目的は、現代医学を過信しないよう人々を説得することである。
 とはいえ、私自身、はじめから異端者だったわけではない。それどころか、かつては心から現代医学を信じていた。
 医学生だったころ、DES(ジエチルスチルベストロール)という合成ホルモン剤の研究が周囲で盛んに行われていた。しかし、私はそれに疑いを抱かなかった。現代医学を信じていたからである。この薬を妊娠中に服用した女性から生まれた子供たちのあいだに、二十年以上ほど経って膣ガンや生殖器の異常が多発することになるとは、当時、誰が予想していただろうか。
研修医だったころ、未熟児に対して酸素療法が行われていた。しかし、私はそのときも疑いを抱かなかった。最新の医療設備を誇る病院でこの治療を受けた低出生体重児の場合、約九割に弱視や失明という視力障害が発生していた。それに対し、医療水準が劣る近くの病院では、この病気(未熟児網膜症)の発生率は一割以下だった。この差について教授たちに質問すると、「貧しい病院では正しい診断法がわからないのだ」という答えが返ってきた。私は教授たちを信じた。
 未熟児網膜症の原因が高濃度酸素の投与であることがわかったのは、それから一、二年後のことだった。経済的に豊かな病院では最新式の高価なプラスチック製の保育器を設置していたため、酸素が漏れずに器内に充満して未熟児を失明させてしまったのである。それに対し貧しい病院では、旧式の保育器が使われていた。隙間だらけのフタがついた浴槽の様なしろもので、酸素がかなり漏れていたが、それが結果的に未熟児を失明から救ったのである。
 私はそれでも現代医学を信じ続けた。
 その後、ある研究グループに加わり、「未熟児の呼吸器疾患に対する抗生物質テラマイシンの使用について」という科学論文の作成に取り組んだ。そしてその論文の中で、「この薬には副作用がない」と主張した。当然だろう。副作用が現れる前に論文を書けば、どんな薬でも「副作用がない」と主張できるのである。
 実を言うと、引き続き行った研究で、テラマイシンだけでなく全ての抗生物質が未熟児の呼吸器疾患にあまり効果がないことと、テラマイシンを含めてどのテトラサイクリン系抗生物質も数千人の子供たちの歯を黄緑色に変色させ、骨にテトラサイクリン沈着物を形成することを確認していた。
 私はなおも現代医学を信じ続けた。
 医者になったころ、扁桃腺、胸腺、リンパ節の病気に放射線療法が有効だと信じていた。教授たちが「もちろん放射線の照射は危険だが、この程度の線量ならまったく無害だ」と言うので、私は信じたのである。
 しかしその後、「まったく無害」な線量でも、十年から二十年後には甲状腺の腫瘍を引き起こす恐れがある事が判明する。


 ついに、現代医学がまいた不幸の種を刈り取る時期が到来した。
 そのとき、自分がかつて放射線で治療をした患者たちの事を思った。その中の何人かが甲状腺に腫瘍を患い、私に頼るために戻ってくるのではないか。その思いにさいなまれている。
 なぜ戻ってくるのか。あなたたちをこんな目にあわせたのは、この私なのだ。
 私はもう現代医学を信じない。


はじめに

治療は病気よりもひどい

医療への幻想から目覚めよう 
 ほとんどの人は、先端医療とは素晴らしいもので、最新の技術を駆使する医者にかかれば健康になれると思いこんでいる。だが、それは大変な間違いである。現代医学に携わる医者こそが、人々の健康を脅かしている最も危険な存在なのだ。
 現代医学の治療はめったに効果が出ない。それどころか、治療のほうが病気よりもはるかに危険である場合が多い。しかも、病気ではない状況でも医者は危険な治療を頻繁に行うから、人々の健康はますます脅かされる。
 医者、病院、医療機器という、現代医学を構成するこれらの九割がこの世から消えて無くなれば、現代人の体調はたちどころに良くなるはずだ。
 現代医学は行き過ぎている。本来なら重症患者にしか行うべきでない特殊な治療が、日常的に行われているのが実情だ。
 一日二十四時間、年がら年中、元代医学は濃厚で過剰な診療をし、しかもそれを誇りにしている。「クリーブランドクリニックの画期的な医療」と題する最近の記事には、世界有数とされるこの心臓病専門病院における過去一年間の「業績」が掲載されている。

 臨床検査の総数 1、300、000回
 心電図検査       73、320回
 CT検査           7、770回
 エックス線検査    210、378回
 開胸手術          2、980例
 手術の総数       24、368例

 どの処置をとっても、健康の維持・増進に役立つという裏付けがないものばかりだ。この記事はクリーブランドクリニックの機関が掲載したものだが、高額の先進医療によって救われた患者がいるのかどうかについては、誇りにするどころか一言も触れていない。その理由は、医療現場では健康が生みだされていないからだ。


医療現場における数々の危険
 医者に行くと、患者は健康になるためにやってきた人間ではなく、医療現場の商品を押しつけるための対象とみなされる。代表的な例を紹介しよう。
 >妊娠して医者に行くと、まるで病人のように扱われる。医者にとって、妊娠・出産は九か月におよぶ病気なのである。だから、それを治療するために点滴、分娩監視装置、各種の薬物ばかりか、何の必要もない会陰切開まで押しつけられるのだ。ただし、その程度ではすまない事がある。医療現場の極めつけの商品、帝王切開が待ち構えているからだ。
 風邪をひいて医者に行くと、たいてい抗生物質が処方される。だが、抗生物質は風やインフルエンザには効かない。むしろ薬が原因で風邪をこじらせ、体調を更に崩すおそれがある。
 落ち着きのない子供が教師を煩わせているからといって、医者に連れていくともっと厄介なことになる。薬の過剰投与で子供を薬物依存症にされかねないからだ。
 新生児が母乳を丸一日飲まず、育児書通りに体重が増えなくても、医者の指示に従う必要はない。医者は母乳育児をやめさせるために、母親に乳汁分泌抑制剤を飲ませる事がある。こうして母乳の出が悪い体質になった母親に対し、医者は赤ん坊をミルクで育てるよう指示をする。だが、人工栄養は危険な育児療法なのだ。
 生真面目に健康診断を受けに行くと、受付で無愛想に扱われ、医者に近寄って緊張し、血圧がかなり上がる事がある。結局、降圧剤を処方されて帰るはめになり、それがきっかけとなって性生活に終わりを告げる。インポテンツ(勃起不全)は心理的要因よりも薬物療法の副作用に起因していることの方が多いからだ。


医療の九割は不要 
 医者は自分が処方している薬の副作用を説明しないことを批判されると、「正直に説明すれば、医者と患者の関係が崩れてしまう」と自己弁護する。
 この言い逃れの根底にあるのは、医者と患者の関係が知識ではなく信頼に基づいているという事実である。患者が「私は医者が正しい事を知っています」とは言わず、「私は医者を信じています」という言い方をするのは、その表れなのだ。
 医者がそれに気づいていないなどと思ってはいけない。それどころか、医者はその辺りを十分に計算している。なぜなら、もし患者の信頼を裏切ろうものなら、絶対に知られてはならない事実が明るみに出るからだ。それは、医療のうち少なくとも九割が不要であり、その不要な医療が患者に害を及ぼすということである。
 現代医学は患者の信頼がなければ存続しない。というのは、現代医学は医術でも科学でもなく宗教だからである。
 宗教とは、「人間の心の世界や日常生活の神秘的な現象に組織立って取り組むこと」と定義できる。この定義によれば、「現代医学教」は生と死、それに肉体に生じる様々な生理現象という最も不可解で神秘的な現象を扱っていることになる。
 イギリスの人類学者ジェームズ・フレーザーは『金枝篇』の中で、宗教を「自然のあり方と人間の生き方を方向づけて管理することができるとする『人知を超越した力』にすがろうとする営み」と定義した。
 この定義によれば、現代人は人間の生き方を方向づけて管理する力にすがろうとして、現代医学教に莫大な医療費をお布施として献上していることになる。


●健康診断は儀式である
●いいかげんな医療機器 
 心電図を記録する心電計は、聴診器よりもはるかに高級で、いかにも先進医療という印象を与える装置である。しかし、実際は「電気仕掛けの高価なおもちゃ」と呼ぶのがせいぜいの代物だ。
 ある調査によると、同じ検査結果でも医者によって診断が二十%も食い違い、しかも、同一の検査結果を再び診断させると、誤差はさらに二十%も拡大したという。
●エックス線による被爆の儀式
 医者が扱う様々な医療機器の中で最も普及していて、しかも危険度においてこれに勝るものがないものといえば、エックス線撮影装置である。だが、この装置は宗教的意義が大変大きく、これを手放すことは医者にとって最も辛い別れとなることだろう。
 何しろ、自分では見られない身体の中を透視できるのだ。そんな装置を駆使する医者に対して畏怖の念を抱くのも無理はない。医者は患者のこの心理を見抜いている。それに陶酔した医者は、ニキビが発生するからくりから胎児の成長の神秘まで、ありとあらゆる検査にエックス線撮影装置を使う。
 小児白血病が胎児の時の医療被曝と密接な関係があることはすでに証明されているが、医者はそれをあっさりと無視する。二、三十年前に頭部、首、胸の上部に放射線を浴びた人たちのあいだに甲状腺機能低下症が何千、何万という単位で発生しているし、甲状腺がんは歯科で浴びる一〇回のエックス線検査による線量を下回る被曝でも発生することがある。
 すでに複数の科学者が連邦議会でこう証言している。
 「たとえ線量の少ない放射線でも、人体に照射すると遺伝子を損傷し、現在の世代だけでなくそれ以降の数世代にわたって深刻な影響を及ぼす恐れがある。エックス線は糖尿病、心臓病、脳卒中、高血圧、白内障といった加齢に伴う病気を引き起こす可能性がある」
 がん、血液の異常、中枢神経系の腫瘍の原因が放射線にあると指摘する研究もある。病院、診療所、歯科で受けた医療被曝に直接的な原因があると推測される死者は、控え目に見積もっても毎年四○○○人以上に上るとされている。
 こうした死亡と病気による苦痛は避ける事が出来たはずだ。私は医学生のころ、胸部エックス線検査は無意味だと教わった。比較的最近の調査でも、それは同じである。マンモグラフィー(乳房エックス線撮影法)に基づく乳がんの診断は、専門医としての訓練を受けた医者でもそれ以外の医者と同じくらいに不正確なのだ。
 放射線科医による重症患者の胸部エックス線写真の診断について、ある調査がこんな報告をしている。医者の二十四%が他の医者と食い違い、同一の写真を再び診断すると三一%が自分の前の診断と異なる診断をしたというの。
 別の研究では、肺に明らかな異常を示す胸部エックス線写真を正常と誤診した医者が三二%いたことが判明した。専門医の三○%の診断が一致せず、二○%が一度目と二度目で診断が食い違っていたと報告する研究もある。ハーバード大学の研究では、放射線科医によって診断が一致しない割合は二○%以上であると報告されている。
 エックス線検査はその危険性と不正確さがいくら指摘されても、多くの医者と歯医者の診察室で神聖な検査として崇められている。

続く・・・

医者が患者をだますとき (PHP文庫 (ろ1-1))
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ロバート・メンデルソン

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*レントゲン撮影を要求する多くの(米国では殆どか)カイロプラクター・カイロプラクティックテクニックも例外ではないんですよ
「カイロプラクティックは薬を使わない安全な自然療法」と謳いながら、不必要なエックス線被曝で患者に害を与えては本末転倒である


沖縄県沖縄市
富村カイロプラクティックオフィス
富村政昭

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