ムダ医療仕分けが患者を救う Newsweek記事

Newsweek日本版2010年4月14日号記事より
アメリカで悲願の医療保険制度改革が動き出す今、不要なのに高額な処置の洗い出しに医師たちが着手
アメリカが進めようとしている医療保険改革には、莫大なカネがかかる。そこでホワイトハウスと議会は昨年、医療関連業界に応援を求めた。
製薬会社は、今後10年で800億ドルを提供することに同意した。病院は、公的医療保険に掛る政府の支払い分1550億ドルを肩代わりすることにした。医療機器メーカーも渋々ながら、200億ドルの課税を受け入れた。

 しかし、ある重要なグループが一切の協力を拒んでいる。医師だ。米国医師会は医療保険改革を支持する条件として、医師の減収につながらないことを挙げた。

 この医師会の態度を「倫理面で問題がある」と考えたのが、テキサス大学健康科学センターの総合医ハワード・ブロディだった。医師には医療コストの抑制を助ける義務があると考えるためだが、理由はそれだけではない。もっと深刻なのは「医師が不適切な治療で儲け、制度を食い物にしている」ことだと、ブロディは言う。

 アメリカでは医療費の5分の1から3分の1が、不適切な検査や治療に充てられてえいる(少なくとも年間5000億ドル)。救急治療室でのCTスキャンや、風邪に処方する抗生物質、子宮頸部がないのに脛癌予防のために行う細胞診など、数え上げればきりがない。

 ブロディは最近、医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンで、ある提案をした。当たり前に行われているが患者には役に立たない高額の検査や治療を、医学の各分野で5つずつ挙げようというものだ。
 5つであれば、全く無意味な治療を洗い出すには十分だが、意味がないと科学的に証明されていないもの(例えば乳癌のマンモグラフィー検査)まで含めることにはならない。「どの分野からも、15や20は挙がってくると思う。しかし5つに絞れば、問答無用で無駄なものが分かる」と、ブロディは言う。
 
膨れ上がる無駄リスト
 目的は医療費の抑制だけではない。医師の処方には、医療過誤や副作用のリスクが常に付きまとう。例えばCTスキャンを行っただけでも、発癌率は高まる。

 ダートマス大学医学大学院のエリオット・フィッシャーの推定によれば、効果のない治療で死ぬアメリカ人は年間3万人に上る。しかもこれは、メディケア(高齢者医療保険制度)の対象者に限った数字だ。

 ブロディの呼びかけに応じた専門医グループは、まだそれほど多くない。そこで本誌は、いくつかの医療団体にブロディの提案をどう思うか尋ねた。反応は「不要な処置などしていない」(皮膚科)から、「たった5つ?」(救急医療)までさまざまだった。

 内科医はブロディのリスト作りに協力的だ。「残念だが、事実であることは間違いない。医師は時に、患者のためにならず、害さえもたらす治療を行っている」と語るのは、ブラウン大学名誉教授のスティーブン・スミス。内科分野での不要な治療の洗い出し作業で、先頭に立つ医師だ。
 
 各分野の専門医が挙げた無駄な治療には、例えば次のようなものがある。
■上部呼吸器感染への抗生物質の投与(原因ウィルスは殺せない)
■21歳未満の女性への子宮脛癌予防の細胞診(「若い女性に異常が見られても、自然消滅する場合が多いことが分かっている」と、スミスは言う)。
■薬が処方されているのに、それより大きな効果が見込めるわけではない別の薬を使う(例えば高血圧症では、初期治療には利尿剤しか使ってはいけない)。


 最先端技術を使った検査も、スミスの「無駄な検査リスト」に入っている。一例を挙げるなら、冠動脈のカルシウム値を測定して心疾患のリスクを探るCT検査は「いい結果につながるという証拠がない」と、彼は言う。「心疾患のリスクが低い患者なら、冠動脈の石灰化が進んでいても、心臓にいいことを日常的にするだけでいい。リスクの高い患者は石灰化の程度にかかわらず、リスク要因を減らす必要がある」

 甲状腺異常の検査もリスト入りした。症状の見られない患者に検査を行っても「異常という結果が出る事はめったにない」ため、症状のない患者を「検査する意味はゼロだ」と、スミスは言う。

 間もなくスミスのチームは数百人の医師を対象に、不要とされた検査や治療について聞き取り調査を行う。いずれは、無駄な検査や治療を患者に知らせる医者が出てくるかもしれない。


続く・・・


沖縄県沖縄市
富村カイロプラクティックオフィス
富村政昭

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