「小児を向精神薬漬けに......」業界中が結託し肥大し続ける医療ビジネスの闇

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「とりあえず様子を見てみましょう。お薬を出しておきます」
医師からこんな診断をされた経験は誰にでもあるだろう。ハッキリと治療の方向性を見いだせていないのに、薬だけはしっかり買わされるのだ。


「それは当然です。医療業界の仕事は学者に病気を認定させ、医者にそれを診断させる、そして薬を買ってもらう。このサイクルをたくさん増やすことなので」

 こう答えるのは、製薬会社の営業マンだったこともある元薬剤師だ。TPPを含めた医療制度の行く末には不安が多いが、現状でも「ずさんな診療による安易な薬の処方で国民は薬漬けにされている」という。

「特にひどいのが小児にまで投与されるようになっている向精神薬です。ちょっと悩みごとがあって落ち込んでいる程度でも病院に行けば1週間分の薬が処方されてしまいます。これは一部の権威ある連中がやたらと早期治療を促した結果」(同)

 元薬剤師は、過去に市民団体などが調査した結果として、日本うつ病学会理事の野村総一郎氏や、独立行政法人国立精神・神経医療研究センター理事長の樋口輝彦氏ら、日本の精神科のトップが次々と製薬会社から「謝金」「講演料」などという名目で多額の謝礼を受け取っていたデータを並べた。

「こうした連中は国民のためでなく、製薬会社に飼われて都合のいいデータを出しているだけで、信頼性なんかありません。でも、これを政府は何かと制度改革の根拠とするので事態はどんどん悪化する。過去、高血圧の数値を10引き下げて薬の処方を増やしたり、糖尿病や高血圧の前提となるからと病気でもないメタボリック症候群も"要治療"に捻じ曲げたのがそれ」(同)

 メタボについては、基準を作成した医師たちの大半が製薬会社から寄付金を受けとったとされており、元薬剤師は「3年間でその総額は14億円に上る」と指摘する

 こうした製薬会社と学者の癒着は海外でも問題になっており、アメリカではすべての製薬会社と医療機器会社が医師らに10ドル以上の支払いをした場合は公表する「サンシャイン法」が来年度から施行される。

「でも、日本では取り締まるどころか昨年も国民医療費が増額されて、まさに医療業界の思うがまま」(同)

 過剰に病気診断させて薬代を稼いだ結果に起こるのは、国民の薬漬けである。元医師で現医療カウンセラーの野村高一氏も「何かあると予防ワクチンを打ってもらい、すぐに薬を処方されていますが、実際には患者の半数以上が投薬の必要性は低いケースです。震災時も、薬品が足りないという被災地の声を分析したら、大半が緊急性のない生活習慣病ばかりだった」と過剰投薬の傾向を危惧する。

 「国民の健康」を大義名分に不安をあおり、大量投薬で儲ける医療ビジネスの問題は、広告主に気を使ってかテレビなどメディアでも取り上げにくい議題だといわれる。

「それどころかテレビの健康番組でやたら国民の不安をあおっている有様。例えば『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』(テレビ朝日系)は新日本製薬や小林製薬が番組スポンサー。視聴者を病院に走らせるための宣伝番組といえます」(野村氏)

 過剰な投薬が副作用による深刻な健康被害をもたらす可能性は長く指摘されてきたことだが、よほどの専門家でもなければ、どこまでが必要な治療・投薬かは判断がつかない。国もメディアも製薬会社も医者も信用できないのであれば、我々の健康は一体、誰が監督してくれるのだろう。
(文=和田修二)
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