書籍紹介 こう治す複合汚染アレルギー ②

●食物アレルギーか複合汚染アレルギーの治療へ
 私たち医師は、何か新しい事を学んだすぐ後に、まさに学んだばかりの事がそのまま当てはまる症例に巡り合うことがよくあります。この経験がまさにそれでした。ローの論文を読んでいなかったら、私はどうしていたでしょうか。おそらく、頭痛薬、胃腸薬、消炎鎮痛剤、ビタミン剤、下剤、睡眠剤、精神安定剤など、いろいろな薬を彼女に投与していたでしょう。また、脳波、CT、胃腸や関節のX線をはじめ、多くの検査を繰り返したに違いありません。「検査漬け」「薬漬け」の医療を、いやでもやらざるを得なかったと思います。そして、やはり最後は精神科医の手を煩わすことになっていたでしょう。
 文献だけではなく、実際の患者さんを通して、食物によってこれほど多くの症状が引き起こされる事を知り、私は、やはり大きなショックを受けました。同時に、この医学を追求していくことが、自分の生涯の仕事になるだろうと思いました。疾患を診ていくうえでも、病人を診ていくうえでも、それまでに学んできた医学にはない、何か重要なものを感じた事もありましたが、たとえ大きな設備の整った病院に勤務しなくても、新しい医学のあり方を追求できる可能性を強く感じたからです。
 その後、今日まで、ほぼ30年間、私は常に食物アレルギーを念頭において、子どもから老人まで全ての患者さんの診療を行ってきました。そしてその間に、大学の教育では教えられなかった、また一般の医学書には書かれていない、常識を越えた多くの事を、患者さんを通して教えられてきました。
 いわゆるアレルギー性疾患とされている、蕁麻疹、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などの原因として、食物がいかに大きな位置を占めているかという事を知りました。
 そして、もっと重要なことは、それまでの医学の常識によればアレルギー性とは考えられない日常的な多くの疾患、とりわけ慢性病では、食物が原因の一つ、あるいは悪化原因(増悪因子)の一つとして働いていることが、じつに多いということを知りました。


こんな時に食物アレルギーを疑ってみる
●一般に「アレルギー性疾患と」されていとき
 一般にアレルギー性疾患とされているアトピー性皮膚炎、気管支喘息、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎などでは、必ずと言っていいほど食物の関与を確認できるものです。もちろん、食物だけが原因になっているということではありません。除去食治療でまったく改善しないものは殆どなく、除去後に再負荷がなされれば、症状の再燃あるいは悪化がほとんどの例で観察されるということです。蕁麻疹のなかでも特別なものである、寒冷蕁麻疹や物理的な蕁麻疹も例外ではなく、除去食の効果が小さい事が多いのは事実ですが、その大半で食物の関与があるようです。皮膚科や内科で、一般には原因不明とされている慢性蕁麻疹も、ほとんどの例で食物が原因の一つとして関与している事が確認できます。

●多彩な症状を示すとき
 日本では、食物アレルギーの専門家の多くが、アトピー性皮膚炎の治療を通じてこの道に入っていますが、私はアルバート・ローの文献に導かれて食物アレルギーに手をそめはじめたこともあって、成人の不定愁訴は最初から主要な関心事でした。
 食物アレルギーを知る以前は、全身に、相互に関連のない症状を多数訴えてくる患者さんには、それぞれの症状に対して薬を処方することで対処していました。いくつもの原因があって、いくつもの異なる疾患にかかっていると考えていたのだろうと思います。あるいは、年齢によっては更年期障害とか、年のせいであると解釈していたと思います。仮面うつ病というものを知ってからは、うつ病の治療に使われる薬(抗うつ剤)を使用する事もありました。
 現在は、多彩な症状を示すいわゆる不定愁訴こそが、食物アレルギーの一番の典型だと考えています。患者さんの愁訴を聞くだけでなく、その他に日頃からどのような症状があるのかを些細なものまで確認して、関連性のない症状がいくつかあるなら、多くの場合、食物アレルギーの関与を見つけ出すことができるといえるでしょう。
 不定愁訴の患者さんで、食物アレルギーが関与していないことはほとんどありませんでした。覚えきれないほど多くの症状を訴えてきたある患者さんに、症状がほぼ消失してから、「これで良くならなかったら精神科にお願いすることになっていたでしょう」といいましたら、実はその患者さんは別の病院で精神分裂症やうつ病の治療中だったということがありました。このような経験は、何度かありました。検査で明らかな異常があって、はっきりと診断され、病名がつけられていても、不定愁訴ないしは多彩な症状を持つ例では、食物アレルギー存在を疑うことを原則にしていいと考えています。

●反復性や慢性の症状・病気があるとき
 反復性・慢性に経過する症状・疾患には、原因の明らかでないものが少なくなく、また、原因が「明らか」になっている場合でも、治しきってしまえる治療法が見つかるほどには明らかになっていないから、治癒しないで続いている訳です。
 症状が反復する、持続するというのは、はじめに原因が働いて症状が出た後は、二次的な原因が生じて、はじめの原因とは直接関係なく、症状が続くものもあるといえますが、多分多くの場合は、症状の原因が反復・持続して作用しているという事を意味していると理解してよいでしょう。そうなると、呼吸、食事によって外部から何かが侵入してくるというのが、最もありそうなことです。呼吸で取り込まれるものに比べたら、明らかに食物は量も多く、成分も複雑です。疑ってみるならまず食事というのは、決して不自然ではないでしょう。もちろん皮膚からも入ってくるものがありますが、その量は、ごくわずかな量でしょう。
 頭痛、下痢、関節痛、倦怠、動悸など、繰り返し続いている場合は、どのようなものでもその出現や悪化に、特定の食物が関与していることが多いと言えます。慢性関節リウマチ、過敏性大腸、血管性頭痛、滲出性中耳炎など明確な診断名がついていても、反復性、慢性のものですから、食物アレルギーを疑わなければなりません。もし食物アレルゲンがみつかれば、除去食療法によって治療が可能となり、再発の防止、余病の予防できることになります。

●深夜に出現するか悪化する症状があるとき
 アレルギー性疾患で、夜間あるいは深夜に症状がみられるものでは、なんといっても気管支喘息発作が重要です。喘息発作が夜間に多い事については、自律神経、内分泌のバランス、ダニなどの吸入性アレルゲンの関与などによって説明されています。しかし私の経験では、気管支喘息の場合も、発作が深夜に始まったものは、夕食やその前後に摂取した食物の中にアレルゲンが含まれている事が非常に多いといえます。
 気管支喘息に限らず、深夜にはじまる胸痛、腰痛、こむら返り、夜泣きなど、特に反復するものでは、原因あるいは誘因に食物が関与していることが少なくありません。朝起きたときに気が付く、いわゆる寝違え、全身の倦怠感や脱力(寝起きの悪さ)、顔面の浮腫、手のこわばりなども、実際には深夜のうちに出現しているのでしょう。概して、起床時から午前中に強い症状を示すものは、前日の夕食を主とした食物の関与が多いようです。
 食物アレルギーの症状が深夜に強くなるということは、アレルギーの研修を始めた時に、日本アレルギー学会の創立者の一人である塩田浩政先生に教えていただいたことであり、じつはリンケルが初めて記載したことだと記憶しています。この教えを守って観察を続けてきて、これが事実であることを確認してきたにすぎません。

●皮膚に何らかの「異常」をみるとき
 白癬(タムシ)や虫刺され等、原因が明らかなものは別にして、湿疹、シミ、そばかす、ニキビ、赤ら顔など、多くの皮膚異常が食物によって変化が観察できます。この経験から、原因不明の疾患・症状が続いていて、しかもこのような皮膚所見を示している場合には、食物アレルギーの関与を強く疑ってみています。成人で特に重要なのは、豆や米のアレルギーによる皮膚所見です。

●家族に食物アレルギーがあるとき
 アレルギーは遺伝するものですから、家族に食物アレルギーがある患者では、その慢性の症状が、食物によって起きている可能性が大きくなります。はっきりと診断されていなくても、前記の項目のどれかが家族の誰かに見られるなら、やはり食物アレルギーを疑ってみます。


沖縄県沖縄市
富村カイロプラクティックオフィス
富村政昭

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